温泉旅館・時空楼へようこそ!
 −其の一−


如何しましょうおじい様。私は夢を見ているのでしょうか?だったらとっとと覚めてください!



私、安部 。昌浩の従姉弟で、十六歳ながら大学を卒業した一応、天才少女。

そんな私は今、性質の悪い夢を見ている。・・・のかも知れない。

何故って?それは、“温泉“があたってしまったから。温泉旅行じゃなくて、本物の、温泉。

思考が停止して約十分。ようやく頭が動き出した私は、急いでじい様こと、安部 晴明の元へ向かった。

「じ、じい様!」

じい様の部屋に飛び込んだ私は、まず最初にじい様の頬っぺたを・・・・強かにつねった。

「・・・・・、痛いのじゃがなぁ・・・」

「痛いんですか?痛いんですねっ?あー如何しよう!温泉がぁぁ!!」

「温泉・・・?ああそうか、ちょっと待ちなさい」

ショックのあまり踊る私に、じい様は手を出す。・・・・じい様、貴方様は私めに何を望んでおられるので?

、その手紙じゃよ」

「これ、ですか?・・・そう!じい様温泉が当たってしまいました!!」

手紙を握り潰し兼ねん私の手から手紙をもぎ取り、じい様はそれを読み始める。

暫らくすると、突然じい様は笑い出した。

「ほっほっほ。あいつも相変わらずじゃのう。や、これはわしの友人のちょっとした悪戯じゃよ」

「い、悪戯ぁ?」

じい様の友人と言うのなら、結構いい年であるはず。やっぱり変な人の友人は、変な人なんだわ!

って言うか、『おめでとうございます。貴方には旅館付き温泉が当たりました』って封筒に書くのだけは、

止めて欲しかった。本気にしてしまった自分が恥ずかしい。

いつの間にか隣りに居た太陰はそんな私の方をポンと叩く。

「気を落とすことないわよ。あの晴明の友人の送ってきた手紙なんだから、少しくらいおかしくてもしょうがないわ」

『あの晴明の友人の送ってきた手紙なんだから』と言われると妙に納得してしまうのは何故だろう。

「うむ。はそんな天然な所がいいのだと騰蛇が言っていたのだから気にするな」

・・・ごめん玄武。私慰められてるんだか貶されてるんだか分かんないよ・・・・・。でも一応前者の意味で取っておく。

ありがと。何にも言わないでほげほげ笑ってるじい様より、遥かに優しいよ。

「で、じい様。本当の所どう言う内容だったんですか?」

二人のお陰で気持ちが向上した私は、じい様に訊く。何か真面目に答えてくれなさそうだけど。

「ああそうじゃな。その友が、昌浩が林間学校から帰ってきた次の日から旅に出るから旅館をよろしくと言って来てな」

「は、はぁ」

「嫌だといったんじゃが、勝手に押し付けてきた。と言うことじゃから昌浩が帰ってきたらここの旅館に行くぞ。

名は時空楼だ」

あ、そうなんだ。おかしな人が経営してる割に旅館の名前は普通なんですね。でも・・・・

「じい様、はっきりと言います。私は手伝いたくありません」

「駄目じゃ。誰のお陰で生活できているの思っておるのかのう。

や、お前も昌浩同様小さい頃はじい様じい様と言ってな、わしの後をついて離れなかったものじゃ。

なのに、ああなのに何が悲しくてこんな風に」

「こんな風に育ってしまって悪うございました」

わざとらしく泣きまねをして、目で「本当じゃ」と私の皮肉に皮肉を返すじい様。

昌浩はこんな目にほとんど毎日会ってるらしい。あいつ、絶対に早く老けると思う。

「でもじい様、知っての通り、私嫌いな人はとことん嫌い抜くので、そういう商売は向いてないと思うんです。

お客様でも、きっと何かされたらさり気なく十倍返しを食らわせてしまうと思うんです」

そう、十倍返し。じい様と違って私は温厚だからね。そんな百も千も倍にして返したりは致しません。

「まあ、気付かれなければそれもよかろう。言って置くがお前に拒否権はないぞ。恨むのなら、わしにお前を預けた

両親を恨むのじゃな」

そうですね。そうさせていただきます。後で式を飛ばして散々嫌味を言わせて頂きます!

『何で二人の兄は(じい様のこと)あんな人なの!?』とか、『あの狸爺早く隠居しろ!』とか。って言うか、

気付かれなきゃいいんですか・・・?

「昌浩は明後日帰ってくるのじゃし、今から仕度はしておいた方がよいな。夏休み中旅館を預からせられるそうだからの」

はい、もう文句は言いません。諦めました。ああ昌浩、早く帰って来て。そして・・・早く私の愚痴を聞いて!!



かくして、の地獄の夏休みは始まったのだった。




後書き


皆様今日も暑いですね。天宮桜です。

何だか唐突に書きたくなって書いたこの、『温泉旅館・時空楼へようこそ!』ですが、実は連載しようと思っています。

かなり無謀ですが、当たって砕けろ!です。(あんまり砕けたくありませんが)

そして主人公視点で書いてみましたが、如何でしたでしょうか?

夢幻の主人公と、年は同じでもあまりにも性格的ギャップの激しすぎる彼女。

実は結構書きやすくて気にいっています。そして今回は、次回予告ではなく、よくあるではないですか?

何かをした後に書かされる、レポート。それを主人公と昌浩でやってみたいと思います。

基本的には同じようなことをします(芸がないですね・・・)そして、長いので何か格好いい略を考えたいです。









昌浩:昌浩の

二人:温泉旅館・時空楼へようこそ!レポート!

:えっと、皆さんこんにちは、主人公のです

昌浩:こんにちは、の従姉弟の昌浩です

昌浩:って言うかさ、レポートって言うけど、俺出演すらしてないし

:あ、そうだよね。それにさレポートって、まだ旅館にすら着いてないし

昌浩:まあいいよ。ってことで、は出てたんだからさっさとレポートしてさっさと終わろう

:え〜私だけがやるの?・・・・えっとー全体的に見て、私がじい様に苛められました!終わり

昌浩:え、それだけ?もっと他にないの?

:ないわよ。大体、レポートなんか言わせるのがいけないのよ!

    今度からその回で一番活躍した人の語りにさせよう!

昌浩:あ、それいい!じゃ、ちゃちゃっと次回予告して終わろう。そして桜に抗議をしに行く!

:よっし!それいい!んじゃやりますか

二人:昌浩が林間学校から帰ってきた。久しぶりに会っただが、

    彰子と仲のいい彼を見て、ショッックを受ける。

    そしてそのまま安部家(晴明、昌浩、+十二神将)+α(彰子)は時空楼へ向かうのだった

:・・・何か、今度は昌浩に苛められそう・・・・・・

昌浩:えっ、何で!?

:分かんないんだったらそれでよし!それでは皆さん、次の機会まで、さようなら

昌浩:!勝手に終わらせるなんてひどいよーーー!!